車買取り業者に見る、交渉術(誰でもマネできます)

今日のテーマは『足元を見られていないと思わせる交渉術』です。
 
 
先日、家の車を売却するのに、車買取りサイトを利用してみました。
 
するとボタンをクリックした1分後には、僕の携帯に業者からの連絡がバンバン入ります。
 
そのスピードに驚かされつつ、翌日には業者が査定に来ることになりました。
 
 
 
買取り業者が到着。
 
彼らは、まず『他の業者と違って、いかに自社が高く買い取れるシステムなのか』を20分ほどプレゼンしてきます。
 
僕としては、システム云々よりも、高い査定さえしてもらえればよいわけですが。
 
 
 
で、ここからが重要なポイント。
 
まず、この車の買取相場を見せたうえで、いくらなら手放すか、聞いてきます。
 
僕の車の買取相場は30~50万円だったのですが、あえて60万円と一発目かましてみたところ・・・
 
 
本当に困った表情をしながら
 
『この車は、私のお客さんで実際に欲しがっている人がいるので、個人的に無理をしてでもまとめたい』
 
『今から、所長に直接交渉してみるので、お待ちいただけますか』
 
 
 
実際に、その場で携帯を取り出し、上長と思われる人に電話で『そこをなんとか』とか言いつつ、交渉しています。
 
 
 
彼らのやりとりが10分程度続いたところで、
 
『西脇さん、なんとか良い査定価格を引き出せました』
 
といってきます。
 
 
 
一発目に出てきた価格は40万円。
 
しかし、車引き取り手数料3万円、買取保証3万円は別にかかります。
 
つまり、手残り34万円。
 
 
 
じゃあ結構です、と伝えると、またその営業マンはものすごく悩んだ顔をしながら、
 
『私には買いたいというお客さんもいるので、なんとかまとめたい』
 
『もう一度、所長に交渉するので、チャンスをください』
 
 
 
多分、この後に同じようなやり取りが続くんだろうと予想できたので、僕はあと30分で次の業者が来ることを伝え、時間を切りました。
 
その瞬間、営業マンは顔色を変えて、携帯で、上長、そして中古車センターの責任者のような人物と交渉をはじめます。
 
それも大きなリアクションで『所長、そこは自分で責任をとるので、なんとかお願いします』とか言いつつ。
 
 
 
10分後。
 
『リスクがあると言われましたが、なんとか45万円で了解取れました。引き取り手数料も買取保証も全て込みです。』
 
 
 
事前に調べていた査定価格よりも良い条件になったのと、正直ウンザリしていたのもあり、その査定条件で決めてしまいました。
 
 
 
かなり長い話になってしまいましたが、ここで伝えたかったのは
 
『彼らが行っていた、すべてのやり取りは出来レース
 
ということ。
 
 
 
この営業マンが行ったのは
 
 
・業界の査定状況を見せることで、お客(ここでは僕)の査定額の判断基準をイメージさせた。

・自分の会社は、業界の常識を変えるシステムで高く買い取れることを説明した。

・自分のお客さんで買いたい人がいるので、自分はあなたの味方だ、というポジションに立った。
 
・僕の代わりに、営業マンが敵である上長と交渉することを、あえて目の前で見せた。
 
・僕のかわりに、査定条件を勝ち取ったことをアピールしてきた。
 
 
 
一般の人は、業界の相場なんて知らないものです。
 
そうすると、どうしても『足元を見られているんじゃないか』と思ってしまいます。
 
 
 
営業マンはまず、この車を買いたいお客さんがいることを伝えましたよね。
 
これは、この後に上長と本気で交渉する必要性、つまり『理由』を示した、ということ。
 
その上で、本気の交渉を敢えて依頼者の目の前で演じることで、最終的にあたかも僕が勝ち取ったかのような印象を与えるのです。
 
 
 
これは、相場がわかりづらい商品やサービスを販売する上で、非常に使えるテクニック。
 
ただし、お客さんの側にたつ理由があること、そして何よりも調整にリアリティがなければ、成立しません。
 
特に高額な商材・サービスを提供するのであれば、参考にしてはいかがでしょうか。
 
 
 
ここに、お店を繁盛させるヒントがあります。
 
あなたのお店は、必ず今よりも繁盛できます!
 
 
 
PS
 
中古車販売の業界は、100万円以下の販売相場の車であれば、そのうち30万円が利益と言われています。
 
つまり、70万円の販売相場の車の場合、買取価格は40万円ということです。
 
 
あと、実際に欲しいと言っているお客さんがいる、というのは、『理由』を演出するためのウソですね。
 
車買取りの交渉マニュアルで見たことありますから・・・。